フラワーアレンジメントを作るとき、どの花から挿せばよいのか。
これは初心者の方からよく聞かれる疑問の一つです。
枝物から挿すのか、大きな花から挿すのか、それとも葉物から挿すのか。
実は、フラワーアレンジメントには基本的な制作手順があります。
しかし、すべての作品を同じ順番で作ればよいというものではありません。
私は、基本を理解したうえで、デザインや花材に合わせて制作手順を変えられることが重要だと考えています。
フラワーアレンジメントには基本的な制作手順がある
フラワーアレンジメントを学ぶ際、最初に覚えるべきことの一つが制作手順です。
どの花材から挿し、どのように作品を組み立てていくのか。
その基本を理解していなければ、作品を安定して制作することは難しくなります。
例えば、作品のアウトラインを作る花材、中心となる花材、空間を埋める花材など、それぞれの役割を考えながら制作を進めます。
ただし、ここで大切なのは、単純に順番を暗記することではありません。
なぜ、その花材を先に挿す必要があるのか。
その理由まで理解することが重要なのです。
なぜ花を挿す順番が重要なのか?
花を挿す順番は、作品の完成度だけでなく、制作のしやすさにも影響します。
例えば、最初に細かな花材を大量に挿してしまうと、後から大きな花材を入れるための空間がなくなることがあります。
無理に挿そうとすれば、すでに挿した花材を傷つけたり、配置を崩してしまったりすることもあります。
また、枝物などの長い花材を後から入れようとすると、周囲の花材が邪魔になり、狙った角度で挿せない場合もあります。
つまり、制作手順を考えることは、単に作業を効率化するだけではありません。
花材を傷つけず、狙った位置に正確に配置するためにも必要な技術なのです。
【H2】アウトラインを作る花材は最初に挿すべきなのか?
フラワーアレンジメントでは、作品の外形を作るアウトラインが重要です。
そのため、アウトラインを構成する花材から挿していく方法があります。
最初に作品の高さや幅、全体の方向性を確認できるため、構成を考えやすくなります。
しかし、すべての作品でアウトラインを最初に作る必要があるわけではありません。
例えば、中心となる大きな花の位置が作品全体の印象を左右するデザインでは、その花を先に配置した方が制作しやすい場合もあります。
また、特殊な形状の枝物を使う場合には、枝の特徴を生かせる位置を先に決める必要があることもあります。
重要なのは、決められた順番を守ることではなく、その作品にとって適切な制作手順を選ぶことです。
【H2】花材の特徴によって制作手順は変わる
同じデザインでも、使用する花材が変われば制作手順が変わることがあります。
例えば、太く硬い枝物と、細く柔らかい草花では、扱い方がまったく違います。
太い枝物は、後から挿そうとしても狙った位置に入れにくいことがあります。
一方、繊細な花材は、先に挿してしまうと、その後の作業で傷めてしまう可能性があります。
また、大きな花を使用する場合には、花の向きや周囲の空間を確保する必要があります。
花材の大きさ、硬さ、曲がり方、花の向き。
こうした特徴を考慮せずに、毎回同じ順番で制作することには無理があります。
花材の特徴を理解し、それに合わせて制作手順を組み立てることも、フラワーデザインの技術の一つです。
【H2】初心者ほど基本の順番を覚える必要がある
ここまで、制作手順はデザインや花材によって変わると説明してきました。
しかし、だからといって初心者が最初から自由な順番で制作すればよいということではありません。
私は、基本を学ぶことが非常に重要だと考えています。
基本的な制作手順には、それぞれ理由があります。
なぜアウトラインを先に作るのか。
なぜ大きな花材の位置を早い段階で決めるのか。
なぜ細かな花材を最後に加えることが多いのか。
こうした理由を理解することで、制作中に何を優先すべきなのかが分かるようになります。
そして、基本を理解しているからこそ、必要に応じて順番を変える判断ができるのです。
基本を知らずに順番を変えることと、基本を理解したうえで順番を変えることは、まったく違います。
【H2】プロは完成までの工程を考えて花を生ける
プロのフラワーアーティストに必要なのは、目の前の花を一本ずつ挿す技術だけではありません。
作品全体を見ながら、完成までの工程を考える力も必要です。
この花を先に挿したら、次の花材はどこから入れるのか。
この枝を固定した後でも、中心となる花を狙った位置に挿せるのか。
後から修正が必要になった場合、どの花材が邪魔になるのか。
こうしたことを考えながら制作を進めることで、無理のない手順で作品を完成させることができます。
もちろん、制作途中で予定を変更することもあります。
しかし、それは単に行き当たりばったりで制作しているのとは違います。
作品全体を理解し、必要な判断を重ねながら完成に近づけていくのです。
【H2】花を生ける順番よりも大切なこと
フラワーアレンジメントを学ぶとき、最初は決められた順番を守ることが大切です。
しかし、技術が身についてくれば、作品に合わせて制作手順を変える必要が出てきます。
私は、フラワーデザインの上達とは、単に多くの作品を作れるようになることではないと考えています。
なぜ、その順番で制作するのか。
なぜ、その花材を先に挿すのか。
なぜ、今回は基本と違う手順を選ぶのか。
そうしたことを自分で判断できるようになることが重要なのです。
基本は守るためだけにあるのではありません。基本を理解することで、応用ができるようになるのです。
花を生ける順番に迷ったときは、まず基本に戻ってみてください。
そして、その順番にどのような意味があるのかを考えてみてください。
そこに、フラワーアレンジメントが上達するための大切なヒントがあると私は思っています。
永塚慎一|フラワーアーティスト®・いけばな作家®
一般社団法人Nフラワーデザインインターナショナル代表理事。
花業界35年以上。農林水産大臣賞2回、県知事賞20回以上、ジャパンカップ優勝、関東東海花の展覧会総合グランプリ、世界らん展インテリア部門優勝など、数々の受賞歴を持つ。
APEC2010をはじめ、国内外の大型イベントや著名人の式典、ブランド関連の空間装飾などを手がける。
フラワーデザインに関する著書・監修書籍も多数。海外でも書籍を出版し、現在は全国に展開するNフラワーデザインインターナショナルのスクールで後進の育成にも取り組んでいる。
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代表理事 永塚慎一(Shinichi Nagatsuka)
