フラワーアレンジメントは最初の一本で決まる?フラワーアーティスト永塚慎一が語る花の生け方

花を生けるとき、最初の一本は重要なのか?

フラワーアレンジメントを制作するとき、最初にどの花材を選び、どこに挿すのか。

これは非常に重要なことです。

最初の一本によって、作品全体の方向性や構成が見えてくることがあります。

しかし、私は最初の一本ですべてが決まるとは考えていません。

なぜなら、花は工業製品ではないからです。

同じ種類の花でも、一本一本、形や動き、表情が違います。

そして、実際に花を生けていく中で、最初に考えていた構成よりも美しい形が見えてくることもあります。

そんなとき、最初の構成にこだわり続ける必要があるのでしょうか。

私はそうは思いません。

大切なのは、最初に決めた形を守ることではなく、最終的に美しい作品を完成させることです。

最初の一本は作品の方向性を作る

最初に挿す花材は、その後の作品制作に影響を与えます。

例えば、枝物を使ったフラワーアレンジメント。

一本の枝をどの角度で挿すのか。

どの方向に伸ばすのか。

どの程度の長さで使用するのか。

それによって、作品のアウトラインや空間の使い方が変わってきます。

最初の一本は、作品全体の方向性を考えるうえで重要な役割を持っています。

ただし、最初に挿した一本が必ず最後までそのままでなければならない、ということではありません。

制作途中で構成が変わることは悪いことではない

私は、フラワーデザインでは柔軟な判断が必要だと考えています。

制作を始める前に、ある程度の完成形をイメージすることは大切です。

しかし、実際に花材を組み合わせていくと、想像していたものとは違う表情が見えてくることがあります。

例えば、予定していた場所に枝を入れてみたら、思った以上に美しい曲線が生まれた。

あるいは、花を一本加えたことで、当初考えていた構成よりも別の形の方が美しくなると感じた。

そんなときは、構成を変えることも必要です。

最初の計画に縛られて、もっと美しくなる可能性を捨ててしまうのはもったいないことです。

ただし、何となく変更するのではありません。

なぜ変更するのか。

変更することで、作品がどう美しくなるのか。

そこを判断できることが重要なのです。

花材の個性を見極めることが重要

フラワーアレンジメントの技術というと、花を挿す角度や配置ばかりに目が向きがちです。

しかし、その前に必要なのが花材を見極める力です。

同じ種類の枝でも、真っすぐなものもあれば、大きく曲がっているものもあります。

花も同じです。

花首の向き、茎の曲がり方、花の開き具合。

一本一本に個性があります。

その特徴を無視して、すべての花を自分の考えた形に当てはめようとしても、花材の魅力を十分に引き出せないことがあります。

私は、花材の特徴を理解したうえで、それを作品にどう生かすかが大切だと考えています。

最初の一本を変える判断にも技術が必要

最初に挿した花材を途中で変更することは、決して失敗ではありません。

しかし、変更すれば必ず良くなるというものでもありません。

最初の一本を残した方がよいのか。

角度を変えた方がよいのか。

別の花材に変更した方がよいのか。

その判断には、作品全体を見る力が必要です。

私は、技術というものは花を上手に挿すことだけではないと思っています。

何を残し、何を変え、何を取り除くのか。その判断もフラワーデザインの技術です。

作品の完成度を高めるためには、制作途中でも冷静に全体を見ることが必要なのです。

フラワーアーティストに必要なのは完成形を見極める力

私は35年以上、花の仕事に携わってきました。

競技会の作品からイベント装飾、日常のフラワーアレンジメントまで、さまざまな作品を制作してきました。

その中で大切にしているのは、最終的にどれだけ美しい作品を完成させられるかということです。

最初に考えたデザインを、そのまま再現することが目的ではありません。

もちろん、決められたデザインを正確に再現しなければならない仕事もあります。

しかし、自由に作品を制作できる場合には、花材の個性を生かしながら、より美しい形を追求わすることができます。

最初の一本は重要です。

しかし、それ以上に重要なのは、作品を完成させるまでの判断です。

最初の一本で作品の方向性を作り、最後の一本まで美しさを追求する。

私は、それがフラワーアーティストに必要な姿勢だと考えています。

 

著書プロフィール

永塚慎一|フラワーアーティスト®・いけばな作家®

一般社団法人Nフラワーデザインインターナショナル代表理事。

花業界35年以上。農林水産大臣賞2回、県知事賞20回以上、ジャパンカップ優勝、関東東海花の展覧会総合グランプリ、世界らん展インテリア部門優勝など、数々の受賞歴を持つ。

APEC2010をはじめ、国内外の大型イベントや著名人の式典、ブランド関連の空間装飾などを手がける。

フラワーデザインに関する著書・監修書籍も多数。海外でも書籍を出版し、現在は全国に展開するNフラワーデザインインターナショナルのスクールで後進の育成にも取り組んでいる。

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